本研究は, 衣服の色彩と呈示方法が着装者に及ぼす心理的・生理的影響を明らかにするために, 4色のワンピースを2種の着衣基体に着装させ, 5種の媒体で評定者に呈示し, 心理反応と生理反応の測定を行った.被験者は21~22歳の女子大学生15名とし, 心理反応 (衣服イメージ, 人物像イメージ, 評価時に抱いた感情) をSD法にて測定し, 生理反応 (心電, 皮膚電気反射) の測定を行った.
実験の結果, 衣服イメージは「嗜好性」, 「洗練性」, 「優美性」の3主成分, 人物像イメージは「優雅さ」, 「親しみやすさ」の2主成分が抽出された.心理反応には衣服の色彩が特に影響し, 呈示媒体や着衣基体は色彩効果の強弱に影響を及ぼしていた.生理反応は, 実物やアリスミラーなど「リアリティのある呈示媒体」と, 写真, ディスプレイ, スクリーンなどの「リアリティのない呈示媒体」で相違した.また, 心理反応と生理反応には若干の相関関係が認められた.