雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
透過型電子顕微鏡による氷とクラスレートハイドレートの観察
志賀 悛樹石塚 皓二永山 昌史郷原 一寿内田 努
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2009 年 71 巻 5 号 p. 319-328

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抄録
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて,クラスレートハイドレートの実像および電子線回折像を得た. クラスレートハイドレート試料としては,テトラヒドロフラン(THF)ハイドレートを用い,試料水溶液を急冷または緩冷して観測用試料とした. クラスレートハイドレートは低圧下ではそれ自身不安定であり, また電子線照射に弱いと考えられる. TEM 中は10^-5Pa もの高真空であるため,試料を低温( 約81K)に保つホルダを使用した.この装置による制約もあり,1つの実像について1枚の回折像しか得られなかった. そのため1枚の回折像からその観測している試料位置での結晶系と方位を決める手法を提案した.その手法の妥当性は,氷のTEM観測より確認した.実像の観察の結果,試料の形状は薄膜状あるいは100nm以下の大きさの微細粒状の物体が観測された. それぞれ回折パターンを観測すると, 薄膜状であっても単結晶と同じようなスポット状のパターンが得られた.解析の結果, ほとんどの頷域が六方晶氷であったが, 観測した試料の10% 程度の割合で立方晶のII型クラスレートハイドレート結晶が確認された.
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© 2009 公益社団法人 日本雪氷学会
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