雪氷
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防雪施設の規模の変遷についての一考察─国道17号湯沢地区に建設された雪崩予防柵と雪崩防護柵のデータから─
町田 誠早川 典生町田 敬
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2014 年 76 巻 5 号 p. 333-344

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抄録
わが国で防雪施設が一般的に設置されるようになったのは,いわゆる38豪雪(1962年度豪雪)の時からと言われる.それから50年余りの歳月を経て,防雪施設の規模が,柵高,部材,基礎などについて,大型化してきた様に見えるので,文献,データなどにより,実情を明らかにして,将来像を模索する. 防雪施設の設計指針は1968年を皮切りに次々に整備され,次第に道路防雪施設の設計積雪深は30年再現確率最大積雪深を取るとなってきた.しかし,実際に設置された防雪施設によりその規模の経年変化を見ると,雪崩予防柵の柵高の場合,豪雪年後に飛躍的に大型化した上に,近年は緩やかながらもなお大型化が続いている.さらに仔細に分析すると,建設初期の1960年代から1980年代初頭にかけては緩やかな増加傾向を示した後,1980年代に連発した豪雪年を機に更なる増加傾向を示すが,1990年代以降の増加傾向は,30年再現確率最大積雪深を設計積雪深とする指針の確立に沿うものと見られる.雪崩防護柵も豪雪後の1980年代から1990年代中頃にかけて大型化が顕著である. このような防雪施設の大型化は,さらに部材や基礎の大型化に至った関連性を論じ,結果として山の自然環境(景観)を損ねている事を示唆した.この点に関してはフランスとスイスでの防災対策を紹介し,我が国においても参考となる点が多い事を指摘した.
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© 2014 公益社団法人 日本雪氷学会
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