抄録
アクリル系可視光硬化型樹脂(LCR0208)を用いて,樹脂包埋法で雪結晶のレプリカを作製するときの最適条件を把握するため,樹脂の光硬化特性および硬化反応熱と気温との関係を実験的に調べた.また,金属製粗さ標準片を用いてレプリカの転写精度を確かめた.その結果,気温が−2℃以下で2000〜8000 luxの可視光を10分間照射すると,試料の雪結晶に樹脂の硬化反応熱などに伴う融解が起きず,レプリカが正常に形成されることがわかった.また,樹脂の硬化収縮でレプリカの寸法は2%程縮小し,0℃以下では溝状部での樹脂の未充填が生じることもわかった.雪結晶の細かな構造への樹脂の未充填による補正量は,0.04μm と見積もることができた.これはレーザ顕微鏡による表面構造の測定精度(±0.5μm)よりも小さく,補正をする必要はなかった.従って,レプリカの形状を±0.5μm の精度で評価する場合,樹脂の硬化収縮(+2%の長さ補正に相当)を考慮することで雪結晶の表面構造を定量的に把握できる.