本研究では,スキーヤーの荷重による圧力が低密度の新雪に及ぼす水平方向の影響範囲について調べた.水平な降雪テーブルにフィルム状の圧力センサを固定し,人工降雪させた低密度(ρ=46-166kg m
−3)の積雪に対してスキーヤーの荷重により圧潰された積雪内の増加圧力を計測し,高密度(ρ=170-343 kg m
−3)の積雪の結果(Schweizer and Camponovo, 2001)と比較した.低密度の積雪ではスキーヤーの足下の雪のみで大きく圧潰が起こり,周囲の雪と大きな密度差ができた.そのため,スキーヤーの荷重による圧力は水平方向の低密度の積雪には伝搬せず,下方の圧潰された積雪へ伝搬したと考えられる.このことから,積雪の密度が小さい場合には,スキーヤーは鉛直下方に影響を及ぼしやすい一方,水平方向の影響範囲は限定的であると考えられる.
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