雪氷
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2014年2 月関東甲信大雪における詳細な積雪深分布の特徴
伊豫部 勉松元 高峰河島 克久和泉 薫
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2015 年 77 巻 5 号 p. 411-419

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抄録

2014年2月14〜15日にかけて発達した南岸低気圧の接近・通過に伴い,関東甲信地方を中心に記録的大雪にみまわれた.本研究はこの大雪による積雪深分布の特徴を明らかにするため,複数の観測機関および聞き取りから得られた多数地点での積雪深データを用いて関東甲信地方の詳細な積雪深分布図を作製した.その結果,100cm以上の多雪地域は,山梨県一円と隣接する都県山間部に広がり,富士山北麓では150cm を越える極大域が局地的に存在することが明らかとなった.積雪深の高度分布特性について検討したところ,関東地方の積雪深の分布は標高200m にかけて急激に増大し,標高300m 以上の山間部では微増となる分布曲線を示した.南岸低気圧の通過に伴い広範囲で記録的積雪となった過去の大雪事例と比較した結果,2014年2月の大雪は多量の降雪が従来から積雪の多い山梨県周辺の山沿いや山間部に集中的に降ったことに加え,50cm を越える積雪が関東平野まで及んでいたことが大きな特徴として認められた.

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© 2015 公益社団法人 日本雪氷学会
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