春先に積雪深6mを記録する北アルプス立山連峰の室堂平(標高2450m)において,積雪開始からの積雪下部の状態を明らかにし,温度環境を理解するため,初冬(11月中旬)から融雪期(4月以降)まで温度測定を行った.さらに冬期前半に積雪下部の写真撮影による“その場” 観察を行った.その結果,積雪下部には温度勾配が存在し,かつ写真により冬期前半(1月初旬まで)は積雪下面での融雪が観察された.これは,地中から積雪への熱流によるものと考えられ,初冬の積雪の一部が失われていることが明らかになった.また,冬期前半や融雪期には,雨水や融雪水の浸透が観測された.