抄録
本研究では,建築物軒先における雪庇の形成メカニズムを明らかにすることを目的に,パラペット付き陸屋根建築物を対象とし,軒先近傍における雪粒子の挙動と雪庇形成状況との関係を吹雪風洞実験に基づいて検討した.北海道科学大学が所有する自然雪風洞装置を用い,木製のパラペット付き陸屋根試験体を対象に実験を行った.ハイスピードカメラで雪粒子の挙動を撮影し,その映像を用いてPTV 解析を行った.さらに,連続的に吹雪風洞実験を行い,雪庇の再現実験を行った.PTV 解析の結果,パラペットが吹きだまりで埋まっているような,あらかじめ積雪のある状態で雪粒子が風向方向にそのまま移動することによって雪庇が形成・発達する可能性が高いことが明らかとなった.雪庇の再現実験では,風速U が3m/s と小さい条件で試験体パラペット上面に吹きだまりが発生するとともに,軒先から0.15m 程度オーバーハングした雪庇が形成された.これらPTV 解析と雪庇の再現実験との関係を分析した結果,風速が小さいほど雪粒子の空間濃度が大きくなり,パラペット上面で吹きだまりが発生して雪庇が形成・発達する主な要因としては,雪粒子の空間濃度が飽和に達したことであった.