雪氷
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Print ISSN : 0373-1006
論文
発達した吹雪境界層における飛雪流量の最大瞬間値と平均値の関係
池田 侑樹川島 理沙大宮 哲新屋 啓文西村 浩一大風 翼
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2022 年 84 巻 3 号 p. 213-227

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抄録

吹雪は,風により雪が空気中を輸送される現象であり,乱流による気流の変動に伴い,その性状が,時間・空間的に大きく変動する.そのため,吹雪の特徴量に関しては,定常的な性状だけでなく,乱流変動に伴うばらつきなど非定常的な性状の把握も重要である.本研究では,浮遊層の乱流変動とそれに伴う飛雪流量の変動や稀に発生する大きな飛雪流量の現象を把握することを目的として,北海道弟子屈町の雪原で吹雪のタワー観測を実施し,1.0,1.5,3.0,7.0 mの4高度の風速及び飛雪流量の時系列データを取得した.そして,吹雪が発生していた区間を10分間毎に抽出し,それぞれにおける飛雪流量の時空間変動に関する分析を行った.結果として,吹雪時,10分間における飛雪流量の99及び99.5パーセンタイル値は,各々,10分間平均値の10倍及び15倍程度の値となっていた.さらに,飛雪流量の3秒間移動平均値の最大値と99.5パーセンタイル値は概ね一致しており,吹雪が連続的に発生する条件下では,歩行者や運転者の目線高さにおける飛雪流量は瞬間的に平均値の15倍程度となることが明らかになった.

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© 2022 公益社団法人 日本雪氷学会
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