雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
研究ノート
後処理キネマティック測位によるUAV空撮測量を用いた全層雪崩区の積雪深および雪崩堆積深分布の計測
安達 聖勝島 隆史荒川 逸人
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2022 年 84 巻 5 号 p. 439-452

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抄録

山岳域での小型回転翼UAV(Unmanned Aerial Vehicle)の積雪深分布調査や雪崩調査への適用を前提とし,雪崩区の積雪深分布および雪崩堆積深の分布を計測する手法を検討した.UAVによる積雪深分布の計測手法では,雪崩区に成育する植生の影響とGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位精度の影響により,雪崩区の斜面中の積雪深分布を正確に計測できないという課題がある.本稿では,LiDAR(Light Detection And Ranging)を用いた航空レーザー測量により得られた5 mメッシュのDEM(Digital Elevation Model)と,後処理キネマティック測位により求めた座標位置を用いたUAV 空撮測量から作成した積雪表面のDSM(Digital Surface Model)を用いることで,雪崩区の侵食および植生の影響を排除した積雪深分布図を得られることを示した.その結果,積雪深分布図から雪崩区の堆積深を計測することができるだけでなく,隔時計測により,クラックの発生と拡大の様子,雪庇が発達しグライドにより雪庇全体が移動する様子を捉えられることを示した.

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© 2022 公益社団法人 日本雪氷学会
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