2022 年 84 巻 6 号 p. 515-527
雪による車両滞留の発生特性の解明を目的に,データベースの構築とそれを用いた分析を行った.データベース構築では,インターネット上で検索できる道路管理者の発表資料,報道資料,公的機関等のTwitter情報を活用し,データの収集を行った.また,発生特性の分析は,発生件数の経年変化,発生地域,道路区分,発生月,発生時刻,発生原因,発端となった車種,滞留規模の8項目を対象に行った.その結果,1986年1月~2021年4月の期間に発生した計423イベントがデータベース化された.発生特性については,車両滞留イベントが近年多発傾向にあること,発生場所は北陸地方が最も多いものの,非積雪地域を含めた40都道府県にわたっていること,発生時刻は日中に多い一方,未明から早朝までの時間帯には少ないことがわかった.さらに,北海道の場合,視程障害や吹きだまり・多量の新雪が原因となる割合が高いが,全国的に見ると圧雪路面でのスタックが原因のイベントが圧倒的に多いこと,大規模車両滞留のほとんどは2010年以降に北陸地方,山陰地方,非積雪地域の高速道路や直轄国道において,大型車が発端となり発生していること等が明らかになった.