2025 年 87 巻 6 号 p. 333-345
気泡による白濁のない透明な氷は,高品質な氷として飲料業界で商業的価値は高いが,既存技術では容易には得られない.必要な場合には大きな氷から透明部分のみを切り出して得ていた.上村らが開発した放射製氷技術で作製した氷を観察したところ,製氷過程初期段階に冷却面付近に発生する微気泡群と製氷途中に所定位置から発生し始める気泡列の2種類が観察された.本研究では気泡列について着目し,気泡列発生の原理の理解とその抑制策を検討した.氷の成長に伴い水槽内の原料水中の溶存気体濃度が高まり,飽和に達すると気泡列が発生することから,初期溶存気体濃度の関数として初気泡発生位置を推定する理論式を導出した.溶存気体として酸素で代表し,原料水の初期溶存酸素濃度や冷却条件を変更して初気泡発生位置を測定したところ,予測値が40 mm以上の領域では気泡発生位置の実測値は予測値と傾向が良く一致した.放射冷却面の温度を変えて成長速度を変化させた実験から成長速度が大きい条件下では,予測と実測の乖離が大きくなったが,上記予測の妥当性を否定するものではなく,水槽内の液相の溶存気体濃度が非平衡状態であることによるものと考察した.