雪氷
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論文
穂高岳涸沢における多年性雪渓の59年間(1967~2025年)の面積変動
井手 玲子神田 健三岡本 遼太郎鈴木 啓助小熊 宏之
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2026 年 88 巻 5 号 p. 381-404

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抄録

本研究は,穂高岳涸沢における多年性雪渓の長期の変動を明らかにするとともに,その長期変化傾向(トレンド)および年々変動に及ぼす気象要因の影響を解明することを目的とした.そのため,測量図,空中写真や定点カメラ写真,人工衛星データなど,1967~2025年の多種多様な画像を網羅的に収集した.これらをGISと最新の画像投影手法を用いて時空間的に統合することで,多年性雪渓面積の59年間に及ぶ長期連続データセットを構築した.解析の結果,雪渓面積は大きな年々変動を伴いつつも,長期的には年約947 m2の割合で有意に縮小していることが判明した.中部山岳地域では降雪量に顕著な減少傾向が見られないことから,この縮小トレンドは消耗期の平均気温上昇に伴う融解(消耗)量の増大が主因であることが強く示唆された.一方,トレンドを除いた年々変動には, 消耗期の気温条件による融解(消耗)量と,涵養期の冬季季節風および南岸低気圧による積雪(涵養) 量との相乗的な作用の影響が明らかになった.本研究が構築した長期データセットは,中部山岳地域における気候変動の影響を評価する上で極めて重要な基礎資料となり得る.

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