雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
野菜の雪中貯蔵に関する研究
村松 謙生
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 48 巻 3 号 p. 149-157

詳細
抄録

本報は雪を利用した野菜の貯蔵に関する試験結果をとりまとめたものである.北陸地域では,積雪の低温・多湿条件を活用してダイコン・キヤベツなどを貯蔵することができる.しかし,積雪深や根雪期間は年次間変動が大きいので,貯蔵を開始する時期に注意するとともに,少雪年次には凍害,多雪年次には積雪の重圧に対する回避策,あるいは貯蔵期間を延長するための覆雪や融雪制御などの対策が必要である.雪中貯蔵の可能な期間は,積雪条件や貯蔵を開始する際の野菜の処理などによって異なるが.ダイコン・キヤベツは90~100日,ハクサイは50~80日,ニンジンはさらに長期間の貯蔵が可能であった.また,雪中に貯蔵した野菜は糖度が増したり,生体重が増加するなどの現象が認められた.これらはいづれも食味の向上につながる興味ある現象である.基礎的な実験結果をふまえて,貯蔵総量が約300tに達する実証試験を行ない,低コスト・大量貯蔵の可能性を得た.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本雪氷学会
前の記事 次の記事
feedback
Top