北海道ではしもざらめ雪の発達を気象条件から判定する方法が得られている.この方法に本州各地の気象条件をあてはめると,今までほとんどしもざらめ雪の存在が報告されていない本州にも,その発達する地域のあることが推定された.それらのうちの8箇所で積雪調査を行った結果,全箇所で積雪下層に脆弱なしもざらめ雪の発達が確認され,この方法が本州でも適用できることがわかった.そこで,この方法で日本全国(北海道を除く)の気象資料を調べたところ,最近10冬期間のうち,2冬期以上しもざらめ雪の発達が推定された気象観測所は,本州に40箇所あることがわかった.これらはいずれも脊梁山脈の太平洋側で,積雪が少なく,気温の低い地域にあり,青森県南東部と岩手県のほぼ全域,および中央高地における山脈・高山の東側や山麓高原に分布していた.