雪氷
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Print ISSN : 0373-1006
雪の水力輸送に関する研究
第8報 雪水二相流の閉塞現象と絞りにおける停滞の発生限界
梅村 晃由中山 実喜男内山 明徳長 靖白樫 正高
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1986 年 48 巻 4 号 p. 207-214

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抄録

流れの観察から雪水二相流の閉塞現象の概要を明らかにし,通常の固液二相流には見られない圧密型の閉塞が発生することを確認した.圧密型閉塞は,雪水二相流中の雪塊がたがいに付着し易く水の圧力により密で強固な塊となる性質に起因し,管路壁に段差があるような部分における雪塊の停滞をきっきかけとして発生する.水平管に取付けられた管オリフィス型絞りにおける雪塊の停滞の限界流速Vstに対する管径D,絞り面積比K,雪の吐出し体積分率Cおよび雪質の影響を調べ,D=47-90 mm, K=0.068-0.27の場合に対し次の結論を得た.
(1)雪の分率Cが雪質によって決まるある値C*(ざらめ雪;C*=0.15,新雪;C*=0.12)以下の場合,VstはDに反比例しCによらない. C>C*の場合,雪塊はほぼ管断面全体を満し,VstはDに反比例しCに比例する.また,これらの傾向に対するKの影響は小さい.
(2)新雪はざらめ雪よりも停滞を起し易く,停滞の限界を与えるDVst, DVst/Cの新雪についての値はそれぞれざらめ雪の場合の1.4倍および2倍程度である.
(3)停滞の限界に対して本実験により得たC*およびDVst値, DVst/C値を用いることにより管オリフィス型絞りにおける閉塞の発生を避けることができる.

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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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