森林内融雪の定量化をはかる基礎的検討として, 森林内外での気象観測, 全天日射量を人工的に変化させた表層融雪実験ならびに上記の結果にもとづき熱収支法により森林内融雪量の変動範囲を推定した.その結果, 以下の知見を得た.1) 森林が存在することによって大きく変化する気象要素は全天日射量と風速であり, 前者は落葉樹林内と常緑樹林内で減少率が異なった.2) 全天日射量の減少により融雪量は直線的に減少し, ピーク融雪量の生起時刻が遅れた.これらの傾向は, 熱収支法によりほぼ再現しえた。3) 常緑樹林内の融雪量は森林外の約10~40%に, 落葉樹林内でも約50~80%に減少することが予想され, 落葉樹林が融雪に与える効果も評価してゆく必要性があることが指摘された.