日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1C-5
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口頭発表
広島県の学校給食における郷土料理提供の実態
*藤岡 華代渡部 佳美下岡 里英
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キーワード: 郷土料理, 学校給食, 広島県
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抄録

【目的】学校給食において食文化の継承を目的として郷土料理が取り入れられているが,その提供頻度や提供する料理の選定は各学校や市町に委ねられており,実態に関する報告はほとんどみられない。そこで本研究では,広島県内の小学校給食における郷土料理の提供状況を把握することとした。

【方法】令和3年度4月~3月に県内教育委員会および公立小学校のホームページに掲載されている家庭配付献立表72種類,483校分(97.1%)を解析対象とした。公的機関が発行した料理集を含む4文献に記載されている郷土料理45品の出現数を算出し,献立作成方式ならびに調理場方式による相違について分析を行った。併せて,令和4年11月に広島県内の教育委員会を通して,栄養教諭等の献立作成担当者にメールまたは文書で協力の依頼状を74件送付し,質問紙を用いて提供していない理由などを調査した。22市町中18市町から43件の回答が得られ,回収率は58.1%であった。

【結果】選定した郷土料理45品のうち学校給食での出現数は29品であった。調理形態別では煮る11品,和える5品,炊き込み飯3品,揚げる3品の順に多かった。1献立あたりの郷土料理の平均出現品数は6品で,献立作成方式では独自献立に比べて統一献立が,調理場方式では共同調理場方式に比べて自校調理校方式が有意に多かった。喫食している児童の割合を算出したところ,「呉の肉じゃが」96.2%,「わけぎのぬた」87.2%,「もぶりごはん」83.8%の順に多かった。質問紙調査では,提供していない料理について,その主な理由として,「衛生上,提供が困難」が6品,次いで「作業工程が複雑である・提供時間に間に合わない」が5品,「広島県の郷土料理であることを知らなかった」が3品であった。

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