抄録
投・受光一対の反射型光ファイバーを用いて,赤色光の積雪中における拡散反射強度の垂直分布を測定する“積雪検層ゾンデ”を試作し,その野外および室内試験を行った結果,本装置により積雪の成層構造に関する有益な情報を容易にかつ迅速に得られることが確認された.積雪検層ゾンデによって測定した自然積雪の拡散反射率(投射光強度に対する入射光強度の比率)は,しまり雪層で高く,ざらめ雪層では低かった.この性質を利用して,拡散反射率のみから両者をある程度判別できる可能性がある.ざらめ雪層を貫入中の同ゾンデからは,鋭いピーク波形を持つ反射光が多数検出された.粒径の異なるガラスビーズ槽への貫入試験によれば,鋭いピーク波形の反射光は,光ファイバーの芯間距離とガラスビーズの粒径とがほぼ同等の場合にのみ検出された.これは,同条件下では,単一ガラスビーズによる内面反射光線の集束現象が起こるためである.ざらめ雪層に見られた鋭いピーク波形の反射光は,球形に近い積雪粒子の場合も,同様の現象が起こることを示唆していると考えられる.