1994 年 56 巻 2 号 p. 119-126
関東地方では,南岸低気圧の通過の際に低気圧による暖かな東寄りの気流とこれとは相対的に冷たい北西部からの気流との間に局地前線が形成される.発達した低気圧の場合には東寄りの気流が強く内陸深くまでおよび,はじめ房総半島に見られた局地前線は内陸に進行する.一方,地上付近の北西風は関東西部の山地と前線との間に収束される.前線の西側で湿雪が降り,送電線着雪の発達条件となる.過去の大きな着雪事故はこの地域内で発生している.この地域性は関東の地形に起因し,また低気圧による局地的な前線と関連が深いと考えられるので,局地的な前線の成因と着雪発生との関わりについて考察した.