雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
八幡平の地すべり地における低頻度全層雪崩の発生実態
大丸 裕武梶本 卓也小野寺 弘道岡本 透関 剛
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2000 年 62 巻 5 号 p. 463-471

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抄録

1999年4月21日, 岩手県岩手郡松尾村籐七温泉付近の斜面で幅約100m長さ約300mの全層雪崩が発生した.雪崩が発生した斜面は谷地形の発達が悪い地すべり滑落崖で, アバランチシュートなどの常習的な雪崩の発生を示唆する地形は見られなかった.この雪崩は発生斜面における雪食地の拡大と堆積地における亜高山帯林の破壊という景観変化を伴っていた.空中写真判読と現地調査の結果, 同様の景観変化は八幡平の稜線部の鏡沼付近においても, 1986年頃に起きたことが明らかになった.これまで雪崩災害の報告が少かった八幡平地域においても, 頻度は低いものの比較的大規模な全層雪崩が発生していると考えられる.

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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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