雪氷
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気象条件から視程を推定する手法の研究
松沢 勝竹内 政夫
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2002 年 64 巻 1 号 p. 77-85

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抄録

吹雪による視程障害の発生状況に関する情報は,ドライバーが安全かつ適切な経路選択を行う上で有効である.道路における視程障害の監視には,視程計が用いられているが,設置個所は一部の箇所に限られており,広域的な吹雪の発生状況を把握するには不十分である.そこで,比較的容易に得られる風速や降雪強度から,視程障害の程度を推定する手法を検討した.最初に,飛雪流量(Mf)と視程(Vis)に関する竹内・福沢(1976)の研究より,視程が3000 m以下のデータから両者にはlog(Vi)=-0.773・log(Mf)+2.845なる関係式が成り立つことを示した.飛雪流量は飛雪濃度と風速の積であることから,次に,飛雪濃度を求める方法を検討した.ここでは,高さ10mでの風速が8.5m/s以上でかつ気温が-2℃未満の条件と,高さ10mでの風速が8.5m/s未満または気温が-2℃以上の降雪時という条件に分けて,風速と降雪強度から飛雪濃度を推定する方法を示した.これらの式を用いた視程の推定結果と実測例とを比較したところ,1000 m以下の視程において,両者は比較的良く一致した.このことは,この視程推定手法が,道路における視程障害の広域監視に十分有効であることを示すものである.

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