2004 年 66 巻 1 号 p. 3-10
雪崩発生に伴う地震動の特徴を把握するとともに,雪崩の発生地点と規模を推定する手法を確立するため,4台の地震計を用いて,2001年1月から4月までの80日間,北海道大学天塩研究林内で観測を行った.期間中に,対象域で確認された雪崩の86%にあたる50例の震動波形を得ることができ,地震計によって高い確率で雪崩発生のモニタリングが可能であることが判った.ほぼ同地点で発生した雪崩による震動は類似した波形を示すこと,震動の卓越周波数と地震計から雪崩発生点までの距離との間には負の相関があり,これから発生点の推定が可能であること,また雪崩の運動エネルギーと位置エネルギーとの関係を用いて,雪崩質量の推定が可能であることが示された.