雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
路面融雪装置の設計熱負荷
熱収支モデルの構築と熱負荷線図の作成
上村 靖司星野 真吾
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 66 巻 6 号 p. 677-692

詳細
抄録

路面融雪装置の設計の際に必要となる自然要因の熱負荷について,路面上の熱収支に基づくモデルを作成し,入手の容易な気象データを用いて,1時間単位で算出する方法を示した.そこでは路面状態を積雪と露出の端的な状態に分けてモデル化することによって,空間的・時間的不均質な路面状況の変化に言及することなく熱負荷を算定できるよう工夫した.
国内代表6地点における11年間にわたる熱負荷の頻度分布を求め,札幌,青森など寒冷な地域では露出部の方が熱負荷は大きく,新潟,長岡,富山では積雪部が大きいことを示した.また,全ての降雪時間を無雪化するのは融雪装置に過剰な熱出力を求めることになり,現実的でないことも示した.
路面のサービス水準を示す指標として無雪化時間率φ(熱負荷発現の累積相対頻度)と設計降雪時間δの2つを導入し,この2つのパラメータから設計熱負荷を求めるφ―δ線図を提案した.従来基準としてきた(δ,φ)=(3h,80%)の条件での熱負荷の計算値は,現在実際に設計に使われている値より小さく,設計指針の見直しが必要であることを指摘した.今後は(3h,90%)または(1h,80%)を基準とし,交通要所等の特に重要な場所については,(3h,95%)または(1h,90%)を採用することを提案した.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本雪氷学会
前の記事
feedback
Top