抄録
コマツナ(Brassica rapa var. perviridis cv. Early komatsuna)のカドミウム吸収に対する5種類の土壌添加剤の抑制効果を評価するために,酸性のカドミウム汚染土壌を用いたポット栽培実験を温室で行なった。軽量気泡コンクリート粉末(ALC),レルゾライト(Lherzo),廃石膏ボード粉末(Gyp-w),マグネシアセメント(Magwhite)と10%未満の硫酸カルシウムを含んでいる炭酸カルシウム(Cacar-G)を,カドミウム汚染土壌に対し1%濃度で加えてコマツナを栽培した。コマツナの吸収カドミウム濃度は,Cacar-GとMagwhite区で低く,ALC区が続き,LherzoとGyp-w区では高くなった。カドミウム吸収抑制効果の高いCacar-GとMagwhiteは,土壌pHを上昇させ,土壌中の交換態カドミウム濃度を低下させていた。Gyp-wは土壌中の水溶態カドミウム濃度を上昇させた。コマツナのカドミウム吸収は土壌のpH,水溶態と交換態のカドミウム量に影響されていた。Cacar-GとMagwhiteが,コマツナのカドミウム吸収抑制に効果的な添加剤であり,ALCはやや効果的であり,LherzoとGyp-wは効果が少ないと示唆された。