環境科学会誌
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一般論文
日本とウクライナの中等教育における生命科学および環境科学カリキュラムの比較研究
フォミチョヴクァ クセニヤ風間 ふたば
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2011 年 24 巻 4 号 p. 304-319

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抄録
1970年代後半から先進国および発展途上国では,環境科学を学校教育課程に導入しようとする試みが行われてきた。現在では,多くの国々において環境科学は生物学に関連する内容として教えられている。本研究では,日本とウクライナの中学校1年生から高等学校3年生までの環境に関わる教育システムについて,学校教育課程および生涯学習/社会教育で取り上げられる項目等を世界の先進諸国と比較した。特に,日本とウクライナの2か国を取り上げたのは日本の学習指導要領は定期的に見直されており,現行の理科教育カリキュラムは表面的にすぎるとの批判を受けて2011年に改訂が行われるのに対し,ウクライナでは,この数十年間に発展を遂げてきたソビエトモデルが依然として継承されていることによる1,2,3)
中学校と高等学校での生物学・環境科学教育の授業時間数と,両国の学習指導要領に基づく教育内容と教育方法の特徴を比較したところ,世界的に累計された計74項目の教育内容のうち,日本では34~39項目が教えられているのに対し,ウクライナで教えられる項目は68であった。また,授業時間数もウクライナは日本より2~4.5倍多いことが示された
教育内容の範囲は科学教育における中核の形成に関わることから,もし範囲が不十分であると,その国の科学技術,経済並びに環境保全を含む社会政策に重大な影響が及ぶと懸念される。
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© 2011 社団法人 環境科学会
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