環境科学会誌
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シンポジウム論文
CO2排出特性による市区町村の類型化と地域特性の関係に関する研究
-2007年市区町村別CO2排出量に基づく分析-
中口 毅博
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2011 年 24 巻 4 号 p. 329-340

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抄録
本研究では,CO2排出特性に基づき市区町村を類型化するとともに,地域特性との相互関係を明らかにし,数量化I類分析を用いてCO2排出特性を規定する地域特性要因について検討した。その結果,次のことが明らかになった。1)2007年の1人あたりCO2排出量は,人口密度が高い,人口規模が大きい等の特徴を持つ都市的な地域ほど,業務部門では排出量が大きく,家庭および運輸部門および全合計で小さくなる傾向がみられた。また,家庭部門と運輸部門については気候が寒冷なところほど排出量が大きい傾向が見られた一方,製造業部門では明瞭な傾向はみられなかった。2)修正ウィーバー法を用いて市区町村を14区分に類型化したところ,4部門均衡型,製造業・運輸複合型,製造業特化型に分類される市区町村数が多かった。1人あたりCO2排出量は製造業特化型,業務特化型が大きく家庭・業務複合型が最も小さくなった。さらに1990~2007年の増減率をみると,4部門均衡型など7類型で減少し,製造業や業務を含む5類型で増加していることから,企業の活動拠点の集約化が進み,排出量の大きい市区町村にますます集中し,それ以外の市区町村で減少したことが読み取れた。3)さらにCO2排出特性がどのような地域特性に規定されているかを明らかにするために,2007年の1人あたりCO2排出量を目的変数,7つの地域特性を説明変数とする数量化Ι類分析を部門別に行った結果,家庭部門が最も地域特性の影響を強く受けており,他の部門でも有意な影響があることがわかった。具体的には業務部門では1人あたり所得,家庭部門は気候条件,民生合計は1人あたり所得,全合計では可住地人口密度に強い影響を受けていることが明らかになった。
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© 2011 社団法人 環境科学会
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