抄録
農学と工学はそれぞれ環境の現場を対象として有しており,環境問題を取り扱う学術のなかでも重要な役割を担っている。さらに近年複雑化する様々な環境問題を解決するために農工連携は必須である。このような意味から,農工系大学は現場に立脚した環境人材育成にふさわしい高等教育機関といえる。本報告ではこれらの状況を踏まえて,東京農工大学にて実施されている大学院付加教育プログラムである「アジア・アフリカ現場立脚型環境リーダー育成プログラム(FOLENSプログラム)」を人材育成事例として取り上げた。プログラムの概要を述べるとともに,特に本プログラムの特色の一つといえる国内外のフィールド実習やセミナーなどにおいて,学生の受け入れから1年以上を経たこれまでの経験から,本プログラムの効果や今後の方向性を述べつつ,農工系大学における環境人材育成を展望した。