抄録
高専並びに大学等の理系高等教育機関は,長年,製造業をはじめとする産業界の要請に合致した人材,つまり技術者を輩出してきた。一方,昨今の社会状況より,企業は環境責任を果たすことが強く求められ,研究者・技術者も環境責任を意識した活動が求められる。環境教育の目標が責任ある環境行動であることから,環境行動を実践するための規定因として広瀬モデルでは便益費用,社会規範,実行可能性の評価が挙げられている。本研究では,学生へのアンケートを通して,環境行動につながる規定因を分析し,それを提供する高等教育機関における環境コンテンツを明らかにすることを目的とした。結果によると,従来の理系高等教育機関では,実行可能性評価に関する教育は十分であるので,便益費用,社会規範を評価できる教育,具体的には環境マネジメントシステム,技術評価手法(LCA,MFCA,環境会計など),環境コミュニケーション技法などを付加することが重要であることを明らかにした。