環境科学会誌
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一般論文
ネパール製造業のエネルギー分析
四蔵 茂雄原田 秀樹
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2012 年 25 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

製造業を牽引役とした工業化は,国民経済の発展に不可欠である。そのためには,生産要素として需要されるエネルギーへの理解が欠かせない。この観点から,本研究ではネパールの製造業を対象に,エネルギー消費構造ならびにエネルギー需要や生産に及ぼす価格の影響を調べた。また,資本のエネルギー代替効果を検討した。その結果,以下の点が明らかとなった。1)「26窯業」,「15食品業」,「28金属製品」,「17繊維織物業」が,主なエネルギー多消費産業である,2)石炭需要は,価格に対して弾力的でない。その他のエネルギー需要は,価格に対して極めて弾力的である,3)全エネルギーと石油製品の場合,価格変動は生産に影響する,4)資本のエネルギー代替効果は,「26窯業」と「28金属製品」,「29一般機械」等で高い。以上の結果を元に,エネルギー価格,特に石油製品の価格安定化と「26窯業」に対する省エネルギー投資の実施が,優先的政策課題であることを指摘した。

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© 2012 社団法人 環境科学会
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