抄録
この研究の目的は,キュポラと誘導炉によって鋳鉄を製造するプロセスを対象に,経済性と環境性の分析を行うことにある。環境性ではCO2排出量を対象とした。方法論としてはインベントリ分析におけるハイブリッドLCA 法を用い,間接影響まで含んだ負荷を分析したほか,鋳鍛造品の中間財としての負荷を推計した。
経済性では,初期投資で同規模のキュポラと誘導炉で差があるが,耐用年数の12 年間で見ると初期投資の占める割合は少なく,コストの大半を占めるのは運転費であった。キュポラの場合,コークス費とコークス比によって影響を受けている。
CO2負荷では,誘導炉の明確な優位性が得られた。運転に由来する差が大きく,設備による差は小さい。また中間財としての鋳鍛造品の負荷を推計した結果,最終財としてのそれに比べて極めて小さいことが示された。