2014 年 27 巻 6 号 p. 362-373
地球温暖化の影響範囲は多岐に渡る。包括的な温暖化の影響評価と適応策立案のためには,共通した将来想定(共通シナリオ)の下で分野横断的に研究を実施する必要がある。本稿では,最新の気候・人口予測情報を用いた日本の共通シナリオを提案する。気候予測情報はCoupled Model Intercomparison Project Phase 5(CMIP5)による4つの気候モデルと3つの放射強制力シナリオを利用した。これらと整合的な領域気候モデルを用いた力学的ダウンスケールの結果も活用した。また空間分布の変化も考慮した9つの人口シナリオとこれらの人口予測に整合的な土地利用シナリオも開発した。これらのシナリオを共通に用いて複数分野の研究を実施することで,日本における温暖化影響の全容把握につながると考えられる。