環境科学会誌
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研究資料
野生絶滅種の里帰りの便益
―仮想評価法と産業連関分析を用いて―
大信田 勇太沼田 大輔
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2016 年 29 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

秋田県仙北市に所在する田沢湖にしか,かつては生息していなかったクニマスの生き残りが,近年山梨県の西湖で見つかった。このため,野生絶滅のクニマスの生息を意図し,田沢湖の水質改善が図られている。本稿では,この田和湖の水質改善の便益を,仮想評価法(CVM)および産業連関分析を用いて推定した。CVMに関するアンケートは二肢選択形式のダブルバウンド形式のWeb調査によって実施した。そして,抵抗回答を処理した場合の平均値が121億7万4340円,中央値が83億9981万1102円と試算した。また,産業連関分析による生産誘発額を7億5469万2751円,雇用者所得誘発額を2億3233万4230円と試算した。さらに,支払意志額(WTP)の決定要因のフルモデル分析を行い,WTPは仮想シナリオの理解度,所得に正の影響を受けていることを示した。

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© 2016 社団法人 環境科学会
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