2017 年 30 巻 2 号 p. 88-95
環境ラベルに関する先行研究としてはこれまで,ラベルの付与された製品に対する消費者の選好や購買行動を調べる研究が多数行われてきた。その一方で,企業価値の観点から環境ラベルを分析する研究は十分には行われてこなかった。このため,本研究は環境ラベルの付与された製品を生産している企業のトービンのqが,そうでない企業のトービンのqと比べて高い傾向があるか分析を行うことを目的とする。環境ラベルには多くの種類があるが,本研究は第三者認証が必要なものに焦点をあてる。分析対象は,日本の製造業に属する上場企業である。また,内生性を考慮するために,操作変数法を用いた推定を行った。その結果,第三者認証を伴う環境ラベルの付与された製品を生産している企業は,そうでない企業と比べ,トービンのqが高い傾向があることが明らかとなった。