環境科学会誌
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2018年シンポジウム
わが国のCCSの法政策モデルとアジア地域での法制度・政策の共通基盤に関する研究
柳 憲一郎小松 英司 大塚 直
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2019 年 32 巻 4 号 p. 141-152

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抄録

わが国は,2050年までに80%のGHG排出削減を目指しており,2016年11月に発効したパリ協定を踏まえ2020年までに26%の削減を公約している。この実現のためには,二酸化炭素回収・貯留(以下,CCSという。)の社会実装が必要であり,今まで環境行政ではほとんど前例のない超長期管理を含めたCCSの包括的な法規制や政策の整備が喫緊の課題となっている。本研究では国際エネルギー機関(以下,IEAという。)により提示されたCCSの特定課題である「異常時の監視・措置」や現状では法制化されていない「長期貯留,閉鎖,閉鎖後の長期の維持管理規定」も規定したCCSの法規制・政策の枠組みモデルを提示する。2050年目標の達成には,火力発電の約70%,産業部門の約80%にCCSが実装されることを要する。この導入シナリオは実現可能なものであるが,実現に向けてCCS-Ready法の策定・早期施行が必要となることから,CCS-Ready法に必要となる規定を提示する。

一方,石炭埋蔵量が豊富なアジア域では今後も多くの石炭火力の新規設置が計画されており(IEA, 2014),各国のパリ協定の達成に向けて,財政メカニズムを踏まえたCCS導入を検討することが必要となっている。このことから,アジア諸国のCCSの法規制の現状や課題を分析し,その分析結果とともにここで提示するわが国の法政策モデルに基づき,アジア諸国でCCS導入・普及の法政策の構築を促す共通基盤を見いだす。

また,大規模なCCSの普及・導入には地域開発計画や社会インフラの構造改革を伴うCCS事業推進のための政策は必須であることから,上位計画との連携を図りつつ,CCSの導入・普及段階ごとに必要となる関連技術及びインフラの網羅的な導入を図る適切なポリシーミックス,それを実現する法的枠組みを見いだすという重要な政策課題への取り組みの必要性に言及する。

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