環境科学会誌
Online ISSN : 1884-5029
Print ISSN : 0915-0048
ISSN-L : 0915-0048
2019年シンポジウム
気候変動に対応した地域のサスティナビリティとレジリエンスの両方とも考慮できるシステムの開発と施策の検討手法
朴 秀日 加藤 博和大野 悠貴
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 33 巻 6 号 p. 195-207

詳細
抄録

日本では,急激な人口減少や超高齢化,気候変動,巨大自然災害,エネルギー危機などの脅威に対してしなやかに対応できるような都市空間構造への転換が急務である。これを進めるにあたり必要となる様々な施策を,地域主体で立案し実施することを支援する評価システム開発を目的とする。

評価システムでは,長期的な人口・建物・インフラの推移をコーホートモデルによって推計し,都市空間転換策実施による漸次的な効果の発現を追跡することができる。そして,平常時の長期的Sustainabilityを環境・社会・経済のTriple Bottom Lineの各側面から評価する。また,巨大自然災害に対するResilienceを生命・健康被害と生活環境被害に分け,余命指標を用いて評価する。これらを同時に評価するシステムを整備できたことによって,気候変動緩和・適応や巨大自然災害への対応,エネルギーセキュリティ確保を,人口減少下において進めていくための都市空間構造転換の方向性と,それに合わせた各種施策・技術の導入方針を検討することを可能とした。

多様な施策を扱い各側面から評価することによって,都市空間構造転換策の方針を総合的に検討し,合わせて環境・エネルギー施策を導入することが考慮できる。自治体施策担当者との意見交換によって,評価システムを用いた自治体内横断での各種施策の検討に資することが明らかにできた。

著者関連情報
© 2020 公益社団法人環境科学会
前の記事
feedback
Top