環境科学会誌
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一般論文
ダンシルクロリド誘導体化-液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法による水道水中フェノール類の測定
岩間 紀知 窪田 吉洋中村 弘揮
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2022 年 35 巻 2 号 p. 94-102

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抄録

本研究では,労力のかかる固相抽出を行わない水道水中フェノール類検査法の開発を目的として,ダンシルクロリド(DNS-Cl)誘導体化処理を行ったフェノール類を,エレクトロスプレーイオン化法(ESI法)を用いた直接導入-液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC/MS/MS)で測定する検査法の検討を行った。検討の結果,試料水に,フェノール類内部標準液,リン酸含有炭酸緩衝液およびDNS-Cl溶液を添加し,反応温度60°Cで誘導体化を行った後,LC/MS/MS測定を行う方法を構築した。本法を用いて,アスコルビン酸ナトリウムによる残留塩素除去処理を行った水道水と,これに保存処理として硫酸銅およびリン酸添加を行った水道水の両方で添加回収試験を行った結果,検量線では真度と精度について,また,添加試料では真度,併行精度および室内精度について,厚生労働省の水道水質検査における妥当性評価ガイドラインの評価目標を満たした。よって,本法は,水道水中のフェノール類検査法として有用であると考えられる。

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