環境科学会誌
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2021年シンポジウム
多主体協働による環境イノベーション人材の育成
竹内 彩乃
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2023 年 36 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

SDGsの達成や地域循環共生圏の実現に向けて,既存の枠組みを活かしつつ,社会課題を複合的に解決する方法を考えることが求められている。これを実現する上では,様々な分野の間に立ち,多主体協働による課題解決の手法を考えることができる「環境イノベーション人材」が求められる。しかし,実社会における人材育成手法の開発は発展途上にある。本稿では,学生が,異なる分野を繋ぐスキルを身につけるプログラムの要素として,①座学ではない,②多主体との協働を含むことに着目し,多主体協働の要素を含む大学学部生対象の実習プログラムの事例を紹介する。

東邦大学の生命圏環境科学プロジェクト実習で行われた「地球を守ろうプロジェクト」を事例に,上記二点について考察を行った。第一に,学内の身近な問題を対象とすること,大学内関係者と連携することは,学生がプロジェクトを進める上での調整能力を身につけるきっかけとして活用できると考えられた。さらに,学生の関わりは,大学内関係者の意識改革にも有効であることが観察された。第二に,異なることを専攻する学生同士が参加することで,プロジェクトに多様な視点が盛り込まれ,より良いプロジェクトの実現に寄与することができるのではないかと考えられた。

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