2026 年 39 巻 4 号 p. 162-167
国際司法裁判所(ICJ)による気候変動に関する勧告的意見の射程を,日本の会社法上の取締役責任の観点から検討するものである。ICJ勧告的意見は,国家のみならず企業にも影響しうる国際的規範形成を促すものであり,取締役責任に関する経営判断原則(判断過程審査)における予見可能性(foreseeability)の基準を,規範的NDCという参照基準を通じて再定位しうることを示す。気候変動対策をめぐる規制強化や国際的な法的義務の進展を踏まえ,企業の取締役が予見すべき範囲と深さの水準を分析し,今後の企業ガバナンスおよび環境政策との接点を明らかにし,気候訴訟における会社法の新たな課題を提示する。