環境科学会誌
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硫黄酸化物大気環境改善の原因構造に関する研究
―汚染負荷量賦課金の効果―
井村 秀文
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1988 年 1 巻 2 号 p. 115-125

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抄録
 わが国において大気中硫黄酸化物排出量の大幅削減が実現した原因としては,まず第一に,昭和40年代後半から50年代前半にかけて,環境基準達成を目指しての厳しい規制対策が実施されたことがあげられる。しかし,昭和50年代半ば以降における排出量削減は,規制の直接的効果とあわせて,省エネルギー型産業構造への転換及び重油に代わる代替エネルギーの導入というわが国経済全体の構造的変化に起因する面が大である。また,公害健康被害補償法に基づく汚染負荷量賦課金の料率が急激に上昇したことが,特に同法指定地域(公健法第一種地域)において,汚染排出量削減の大きな経済的インセンティブとして働いたものと考えられるが,これが実際にどの程度の効果をもたらしたかに関する実証的報告はまだ見当たらない。このため,本論文においては,まず,昭和40年代末から60年代初にかけて公健法指定地域(第一種地域)とその他地域でSOx排出量の推移にどのような差がみられたか,また,昭和50年代後半において急速に進展した燃料の低硫黄化(C重油からA重油・灯油への転換)に如何なる地域的特徴が観察されたかを概観する。次に,液体燃料総使用量の減少と汚染賦課料率の上昇という条件の下で,液体燃料間の転換が実現したメカニズムを説明するためのモデルを提出し,これに基づき,硫黄酸化物環境改善の原因構造,特に液体燃料総需要量の減少による効果と賦課金が果たした効果の関係を分析する。
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