アジア地域の経済発展による生活水準の向上および人口増加により,食料需要が増大・多様化している。食料需要と所得を関連づけている研究が数多くなされている。それらの研究における所得は,各種の政府機関から出されている経済成長率予測レポートに基づいて推計されている。現在,アジアの各国をとりまく経済環境が相互依存的になってきており,アジア地域の経済成長が,日本を含む周辺諸国からの投資の影響を大きく受けている現状を考慮すると,所得を生み出すメカニズムについて言及する必要がある。 本研究では,日本について,資本ストックと労働投入量から所得を求め,その所得を用いて食料需要量推移を説明することを試み,資本ストックと就業人口比率を外生変数とする食料需要モデルを構築し,実勢値を表現することのできるモデルが得られたことを確認した。