環境科学会誌
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ディーゼル車抑制策による大気汚染物質の削減効果
大野 栄治森杉 壽芳高木 真志鈴木 慎治
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1997 年 10 巻 1 号 p. 29-37

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抄録

 わが国では,ほとんどの大気汚染物質は度重なる規則によって減少しているが,NOxについては増加傾向にある。このNOx問題の主な原因はディーゼル車の増加にあるといわれているが,ディーゼル車は経済優先政策により税制面(特に自動車用燃料に関わる税)においてガソリン車よりも優遇されている。したがって,汚染者負担原則に従うならば,NOx問題を解決するためには軽油税を引き上げるなどしてディーゼル車を減らすべきであると考えられる。そこで本研究では,軽油税の引き上げやディーゼル車の車齢制限策などのディーゼル車抑制策によるディーゼル車台数および大気汚染物質(窒素酸化物NOx,一酸化炭素CO,炭化水素HC,浮遊粒子状物質SPM)の排出動向を分析するためにコーホート型ディーゼル車普及率予測モデルを構築し,種々のディーゼル車抑制策の効果を検討した。分析の結果,NOxのみならず他の大気汚染物質(CO,HC,SPM)の削減効果もあり,また比較的人々の合意が得られ易いという観点から,軽油税(軽油価格)の引き上げが最も適当であるとした。

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