抄録
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は工業的に汎用されているキレート化剤である。しかし,生分解性が悪いがために環境中に存在する有害な重金属を溶出させ,環境バランスを崩すという理由で,欧州で規制の対象となってきている。我々はこのEDTAを分解する微生物を探索し,神奈川県西部の土壌から目的の菌株を見出した。本報のA-1株は先に報告したバチルス属の菌株に比べ,より高い分解能を有することが判った。即ちA-1株は37℃ における培養条件下で0.01%濃度のFe(III)-EDTAを97%分解した。また,そのインタクトセルはFe(III)-EDTAを唯一の基質として加えた時でも分解能力を示し,192時間の培養で0.08%のFe(III)-EDTAを56%分解した。予備的な分類学的検討により本菌株はシュードモナス属に属する菌であることが示唆された。