現在、循環型社会に移行することの重要性が大きく叫ばれている。しかしながら、有限な化石資源を基盤とする限りは原理的に完全循環型の社会は不可能であり、これを実現するためには早晩、再生可能資源(植物などの生物体=バイオマス)を基盤とする社会経済システムに転換しなければならない。すなわち、使い捨ての石油化学物質を提供する社会から、再生可能な物質を介して機能を提供する社会への移行が必須である。今まさに石油精製(Oil Refinery)基盤からバイオマス精製(Biomass Refinery)基盤への転換によって、再生可能な物質資源であるバイオマスから得られる工業原材料から製造される「バイオマス起源製品」による機能代替の可能性を明確な形で切り拓いておく必要がある。このことを視野にいれて、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究(平成9年度~12年度)「ゼロエミッションをめざした物質循環プロセスの構築」には植物バイオマスワーキンググループが設けられ、各種の資源化技術を研究開発すると共に、それぞれの資源化技術のゼロエミッション技術としての位置付けを検討・整理した。