2001 年 14 巻 4 号 p. 391-401
21世紀に向けて地球に優しく、安全で映適な生活を維持できる人間活動および生産活動を創生するためには、廃棄物環境への排出、すなわちエミッションをできるだけゼロに近づける社会・産業・生産システムが構築されなければならない。このような社会的要請を実現するため、文部省科学研究費補助金特定領域研究(平成9年度~12年度)「ゼロエミッションを目指した物質循環プロセスの構築」が実施されてきた。その中でAO3班は、「物質循環を記述する数理モデルの構築と地域ゼロエミッション化の予測および評価」という課題名で、地域ゼロエミッションを実現するための方法論とその評価手法に関する研究を行ってきた。わが国における物質の流れと利用量の現状を明らかにした上で、適当な規模の人間活動・生産活動を維持しながら資源・エネルギーの消費量と環境への汚濁負荷をどこまで削減することが可能かを検討し、ゼロエミッションをめざした新たな物質循環プロセスを構築するシナリオの策定を検討した。さらに、ゼロエミッション施策を導入するためには、未利用物質の品質維持、住民合意形成、関連法律の整備、経済影響に関する検討が必要である。