環境科学会誌
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国土利用の計画における環境施策の位置付けの現状
中村 隆司
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2002 年 15 巻 3 号 p. 207-213

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抄録

 国土利用に関しては,土地利用に関する国土利用計画法(国土法),開発に関する国土総合開発法(国総法)を中心に多数のマスタープラン的な性格を持つ計画が存在する。これらの計画が本来の役割を十分果たしていないという指摘は従来からなされてきたが,さらに,国土管理の視点を重視することも一つの狙いとして,国土計画体系の見直しが進んでいる。この国土管理という視点から計画制度を見直すことは,国土利用の計画と環境施策との関係のあり方を再考することとも深く関連している。こうした計画制度見直しの動きも念頭に置いて,国土法による国土利用計画,土地利用基本計画について,収集した計画によって環境施策の位置付けの現状を確認しながら,これらの計画が環境施策に関連して持っている可能性,さらには計画制度再構築のための論点を,次のような事項に関して幅広く示した。 国土利用計画については,(1)土地利用転換の量的調整の仕組みの破綻,(2)総合的土地利用計画としての市町村国土利用計画,(3)環境に関する目標の設定,(4)保全すべき対象と地域の合意の観点から考察を行った。 土地利用基本計画については,(1)広域生活圏としての総合的観点からの調整,(2)指針性の向上と地域指定の意味付け,(3)調整指導方針の充実,(4)市町村の土地利用調整計画策定の試み,(5)規制,事業,土地利用適性評価等の地図上への一元化の観点から考察した。 さらに,土地取引規制制度と窓口機能に関して論じた。

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