抄録
汚染土壌を直接摂取した場合のリスクを含有量の把握により評価することは,過大評価へとつながる可能性がある。そこで,胃腸管内に汚染土壌等が曝露された場合に,胃腸管内において有害物質がどの程度溶出して吸収されるかというbioavailabilityの概念が必要であると考えられる。この概念に基づき,in vitro試験を検討し,胃,及び小腸における道路塵埃中の有害重金属の溶出濃度を検討した。その結果,液固比を100とし,胃条件と小腸条件のpHはそれぞれ2.0と7.0とし,有機酸と酵素を添加して抽出液を再現することを決定した。この試験により胃条件において溶出した道路塵埃中の有害重金属は,小腸条件に至るとその溶出濃度が減少することが示された。