環境科学会誌
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市民参加の環境情報ネットワークに関する考察
丸尾 哲也
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2003 年 16 巻 3 号 p. 205-209

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抄録

 市民意識の高まりや,それに呼応した行政の政策転換によって,「市民参加」が盛んになってきた。この背景の一つとして,インターネットをはじめとする情報通信技術の発展が寄与していることは間違いないだろう。本論文では,地域の環境情報について,市民自身が情報を発信,交流している幾つかの実例に基づき,その情報交流の特徴について考察を行った。いずれの場合も,行政や企業が作成する情報に比べて,情報の正確性,正当性に劣るが,地域社会の環境の現状や問題を市民が理解できる有効な手段となっている。これは,立場を同じくする市民同士が行う「共有のコミュニケーション」で情報交流が行われているからであると考えられる。共有のコミュニケーションとは,何らかの目的を実現するためのコミュニケーションではなく,地域コミュニティ内において認識や感情,感性を共有するためのコミュニケーションである。発信される環境情報には,発信者の個性,意見,それに基づいた行動が含まれており,人的ネットワークの形成に役立っている。

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