淀川本川と支川の天野川・船橋川で3日に1度の高頻度の溶存態重金属負荷量調査を3年間実施した。重金属はICP/AESで測定し,高濃度試料はICP/MSでも再測定した。公共用水域調査よりも1オーダー高い高頻度調査は降雨時流出を捉え易いため,溶存態重金属負荷量は流量に大きく影響されることが明らかになり,L=a・Qn式は高い相関係数となった。流域面積当たりの平均流出負荷量は,淀川本川のMn,Zn,Pb,Cu,Cd,As,Sbが枚方市内の支川の3地点より少し小さく,MoとSiはほぼ半分以下の小ささであった。高頻度調査での溶存態重金属濃度の頻度分布は対数正規分布形を呈するものが多く,降雨時の高濃度値の出現によって公共用水域の水質モニタリング調査での算術平均値や中央値より高濃度側ヘシフトする傾向が顕著であった。調査期間の総流出負荷量を流量と懸濁物質濃度の大きさで降雨時流出分と晴天時流出分に二分すると,ほとんどの重金属で降雨時流出分シェアが晴天時流出分のそれと同じくらいか,上回る傾向を示した。これは,降雨を介して流出する面源負荷の調査期間中でのウエイトが増し,溶存態でも多くの重金属が降雨時流出によって多量に流出することを示していた。