環境科学会誌
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自治体における温暖化防止対策の特性とその推進力に関する分析
中 毅博
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2004 年 17 巻 3 号 p. 217-223

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抄録

 本研究は,市町村レベルの温暖化対策の実施状況を分析し,対策実施状況の特徴を統計的に解析したうえで,その要因を明らかにした。まず2001年の自治体調査結果に基づき,34種類の温暖化対策の実施パターンを数量化III類で分析したところ,「公共事業系―社会制度系」「人工系―自然系」「新技術系―在来技術系」の3つの軸で類型化できることが確認された。次に3つの軸上でのスコアの平均値を求めることによって対策の傾向を分析したところ,農山村的性格が強い自治体は自然系・在来技術系の温暖化防止対策が多く実施される傾向にあり,都市的自治体は人工系・新技術系の対策が実施される傾向にあることが確認された。さらに1自治体あたり対策実施数を目的変数,環境基本計画策定有無,新エネルギービジョン策定有無,推進組織設置有無などの推進力要因と,地域特性要因を説明変数とした数量化1類分析を行った結果,対策全体ではISO14001取得や環境基本計画策定の推進力が大きく,政策分野別では,公共事業実施時の環境配慮ではISO14001,地域エネルギー供給・利用システムでは新エネルギービジョン策定,地域資源循環利用システムの整備では環境基本計画策定,環境負荷の少ない交通システムの整備では排出量把握,環境負荷の少ない建築物・街区の整備では,環境基本計画策定の推進力が大きいことが明らかになった。

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